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傾聴の歴史ーその7

更新日:2021年1月18日



傾聴ボランティア養成講座が各地で開催

 1800年代後半、カウンセリング分野からスタートした傾聴も、日本に渡り、ビジネスの分野、看護の分野、福祉の分野、教育の分野と、時代と共に活用の場を広げてきました。

 そして2000年代に入ると、傾聴はボランティア活動の分野でひとつのブームを迎えます。


 「傾聴ボランティア」という言葉を目にしたことのある方もいらっしゃるかと思います。主にご高齢者の施設やデイサービスなどで「会話を通した心温まるひとときを過ごしていくボランティア活動」なのですが、現在は、各地の社会福祉協議会や地域のボランティア団体の主催する養成講座が人気を集めています。

 その背景のひとつには、少子高齢化による高齢者人口の増加があげられます。65歳以上の高齢者人口は、2003年の2190万人から2020年には3617万人(※)へと約1,6倍増となっており、ご高齢者のQOLを高めるための取り組みが様々行われています。そのなかのひとつとして、日々の関わりの中で心を寄せお話を聴いていく傾聴ボランティアの活動が注目されているのです。


※総務省統計局(高齢者人口の現状と将来)より

 

 私たちの団体が傾聴の啓発活動を始めた2008年の時点では、すでに「日本傾聴塾」の村田久行先生、「公益財団法人ユニベール財団」のフォーク阿部まり子先生、「NPO法人日本傾聴ボランティア協会(旧、ホールファミリーケア協会)」の鈴木絹英先生、「NPO法人P.L.A」の後庵正治先生、「NPO法人シニアライフセラピー研究所」の鈴木しげ先生などの諸先輩方のご活躍により、傾聴ボランティアの養成が各地で行われていました(上記以外にも多くの先達のお取り組みがあったと思います)。こうした先達の基盤の上に、現在も多くの方々が傾聴の普及活動に取り組んでいます。


※傾聴ボランティア養成の歴史や研究については、「 傾聴ボランティアの臨床心理学的意義とその養成(目黒達哉/関西大学,2018)」にも詳しくあります

  

 上記のような流れのなか「お話を聴くというのは笑顔のお手伝いになる」という認識が少しずつボランティア活動から私たちの日常へと広まっていき、現在のように傾聴という言葉が一般的なものへとなっていったと考えられます。


終わりに

 「傾聴の歴史-その1」から本記事「傾聴の歴史ーその7」まで、主に文献検索をベースに傾聴の足跡をご紹介してきました。

 現在では身近になりつつある傾聴ですが、その姿勢や技術が時代と共にどのように活用され、私たちの生活に浸透してきたのか。文献には残っていないエピソードもまだまだたくさんあるのだと思います。今後も少しずつ見識を深めながら、折を見てご紹介していきたいと考えています。


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